この句、出来たあと少しして、芭蕉最後の句「旅に病で夢は枯野をかけ廻る」の本歌取りということになるのかな、と微笑したのだが、つくった前後には芭蕉の句はなかった。
しかし気付いて、80代にちかい自分の夢と、52歳で没した芭蕉の求めるものへのきびしい夢の違いに恐れ入った次第である。
それはともかく芭蕉は芭蕉、兜太は兜太、ゆっくり生きてゆこうの心意。
(『東国抄』)